大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和31年(し)61号 決定

東京拘置所在所

申立人(被告人)

杉山英夫

右の者に対する昭和三〇年(う)第二四二三号放火未遂、強盗殺人未遂被告事件について、昭和三一年一一月一九日、東京高等裁判所のした同人の勾留理由開示の請求を却下する決定に対し、同人から特別抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件抗告を棄却する。

理由

勾留理由開示の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては、たとい、判決後にしたものであつても、刑訴四八二条二項により、その高等裁判所に通常の抗告に代る異議の申立をすることができるのである。従つて原決定は同四三三条にいう「この法律により不服を申立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申立てることはできない。そして最高裁判所に対する抗告は、右の特別抗告のほかは許されないのであるから、本件抗告は不適法といわなければならない。よつて、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例